ファッションで比翼というと「比翼仕立て」のことを指します。
英語では「フライ・フロント」と言います。
比翼は、鳥が翼を休めている姿に、仕立て方が似ているところから呼ばれるようになりました。
主にレインコートやトレンチコートのフロントを思い出していただくと、イメージしやすいと思います。
表からはボタンの穴やボタンそのものが見えない。
ボタン留めの部分を二重に合わせて仕立てる、独特なデザインです。
比翼仕立てはボタンだけではなく、ジッパーなどを隠すときにも使われます。
比翼仕立てには、襟元や胸元をスッキリと見せる効果があり、洋服だけではなく日本古来の和装にも同じ仕立てがあります。
もともと英語の「フライ」の意味には、服のボタンを隠すという意味がありますから、海外でも日本でも同じようなデザインを思いつき、仕立てるようになったようです。
比翼には、本比翼と略比翼の2つがあります。
本比翼とは、ボタンを留めても前から完全に見えないように、フロントを二重に仕立てたもの。
略比翼とは、前身頃の部分を折り返し、その裏側にボタンホールを作ったもの。
同じ比翼仕立てにも、このような違いがあります。
コート以外にもドレスシャツにも比翼仕立てがありますから、いつもと違うファッションを楽しみたいとき、比翼仕立てのドレスシャツを取り入れてみてください。