「ジャケパンもそろそろ秋のコーディネートにしたいなぁ」
そんな夫の一言で、元カラーコーディネーターとしての気持ちがムクムクと頭をもたげました。
「よし、昔の本を引っ張り出して、秋コーデの配色を考えてみようかな」。
実は、色の組み合わせには法則があります。
その法則に則ってコーディネートすれば、センスや勘に頼ってなんとなくしていたコーディネートもバッチリ。
あなたもご一緒に秋のジャケパンコーデを考えてみませんか?
これをマスターしてしまえば、秋だけでなく一年中色あわせに困ることがなくなりますよ。
しかも、同性からも異性からも「コーデ上手な人」と、一目置かれて憧れられる存在になってしまうかも・・・。
秋のジャケパンに合う素材と色の傾向
秋の色と言えば、赤や茶、ワインレッドなどの暖かい色が代表格。
だけど、ビジネスに合う赤や茶ってどんな色だろう?
あまり派手でも会社には着ていけないし、暗い色にすると合わせる色も暗くて何だか全体的に暗くなってしまいそう・・・
そもそもセンスないし、なんて悩まなくても大丈夫です。
まずは色の基本を知りましょう。
色の基本を知れば、色の組み合わせやどの色が秋という季節にマッチするのかもわかります。
また、素材感についてもお伝えします。
センスの良いと言われる人は、無意識にこの色についての法則を上手に利用している人です。
あなたも法則を知れば、コーディネートの達人になれますよ。
基本色はモノトーン
基本的に何にでも合う色と言えば、白か黒を覆い浮かべる人も多いと思います。
そう、何にでも合う色は白から黒までの間の「白、灰、黒」です。
モノトーンは色が入っていない「明度」だけの色。
だから、他の色が合わせやすいんですね。
でも、白や黒だけだと何となく味気ないし、飽きてきますよね。
そこで、ここからは色について、お話ししていきます。
明度・彩度・色相、失敗がないのは暗い方
結論から言ってしまえば、明度と彩度が暗い方が、コーデに失敗がありません。
明度、再度、色相は、絵を描く人やグラフィックに詳しい人、写真に詳しい人ならご存知かもしれませんね。
色を立体的に見ると、次のようになっています。
明度は上がれば上がるほど白に近く明るくなり、下がるほど黒に近く暗くなります。
彩度は下がるほどぼんやりとし、上がればはっきりとします。
そして色相は、隣の色にプラスされたりマイナスされたりすることによって、少しずつずれていきます。
色はこのように法則があるんですね。
さて、失敗のない明度と彩度に関してですが、茶系でも黒に近い茶、紺でも黒に近い紺ほど、他の色が合わせやすくなります。
明度や彩度が上がると、白に近くて薄くても、色そのものが主張してしまうからです。
他の色も同様で、明度と彩度が暗い方が、より他の色が合わせやすくなります。
また、モノトーンには彩度がないため、どの色とでも相性が良く、合わせやすい色です。
コーディネートに自信がなければ、ベースにモノトーンを入れると失敗しません。
隣り合わせだからうまくいく|色相
色相は、色合いの違いのことを言います。
下の図は色相環といい、色の似た者同士を隣り合わせにして示した輪です。
先ほどの立体図を別の形でわかりやすく表したもので、24色の絵の具の箱の中を思い出していただけると、大体この配列になっています。
輪の反対側の色が「補色」で、反対の色を指し、お互いを引き立たせる色です。
例えばピンクなら緑、オレンジなら青、といった具合。
色の組み合わせで迷ったら、色相の隣り合った色をチョイスすると上手くいきます。
色合いが少しずつずれていくので、グラデーションができるためです。
例えば、色相環の図の「4-rO」「5-O」「6-yO」の3つを見てみてください。
オレンジのグラデーションができますよね。
この3色を実際に使ってコーディネートすれば、オレンジのグラデーションコーデが出来上がります。
オレンジに合う色は・・・と探さなくても、このように一つの色を基準にして、その隣り合わせの色を合わせるだけで、簡単に素敵なコーディネートが完成します。
トーンを制するものはコーデを制する
色は明度と彩度を組み合わせて色調を伝えることができ、これをトーンと呼びます。
元の色がビビッドの赤と考えると、左に行くほど明度が低くなり、濁った色になります。
明度を見てみると、上に行くほど明度が高くなり白近い赤(ピンク)に、明度が下がるほど黒が入ってきて、グレーに赤みが少し入ったような、暗い小豆色のようになっていますね。
「赤」一つとっても、トーンが違うとこれだけの広がりがあります。
また、トーンの同じ色同士をグループ分けすると、イメージを伝えることができます。
下の図はトーンごとにグループ分けされたものですが、違う色の塊なのに、どことなく雰囲気が統一されているのがわかると思います。
また、色を言葉にしてみると、次のようなイメージになります。
春は薄くて明るいイメージ、秋は濃くてダークなイメージ。
夏はカラフルで強いイメージ、冬は落ち着いて少し弱いイメージです。
ここで秋を見てみると、「エレガント」「ダンディ」「フォーマル」「クラシック」などが大体秋のイメージですね。
トーンのグループ表で見ると、ライトグレイッシュ、グレイッシュ、ダル、ディープ位の位置が当てはまります。
全く違う色なのに同じイメージになるのは、明度や彩度が同じだからなんです。
例えばペールトーンのグループの9時方向にある赤と、ストロングのグループにある9時方向の赤とでは、同じ赤なのにだいぶ違いますよね。
色を合わせる時、トーンを同じにすると、印象が同じになるので、たとえ違う色でも統一感が出ます。
もし、元気な感じのコーディネートにしたいなら、ビビッドやブライトトーンを、柔らかい雰囲気にしたいなら、ソフトトーンやライトグレイッシュの色だけで統一すれば間違いありません。
色使いの上手な人は、たくさん色を使っても同じトーンで合わせているため、違和感を感じないのですね。
色から連想されるイメージは?
色にはその色のイメージがあり、しかも色の温度差もあります。
色の温度差ってあまり聞いたことないかもしれませんが、実は色にも温度があり、赤い色と青い色では温度が違うんです。
暖色系の代表「赤」は一番温度が高く、寒色系の代表「青」は一番温度が低いのですが、これはちゃんと実証されていて、赤一色の部屋と青一色の部屋だと、およそ2度温度が違うという結果が出ています。
色から連想されるイメージは、一般的に次のようになります。
・あか・・・熱い、エネルギッシュ
・オレンジ・・・暖かい、朗らか
・きいろ・・・明るい、喜び
・みどり・・・穏やか、自然な
・あお・・・クール、誠実
・むらさき・・・個性的、神秘
・ピンク・・・かわいい、優しい
・しろ・・・清楚、純粋
・くろ・・・高級感、モダン
色には心理効果がある
色のイメージには、寒・暖だけでなく、様々な心理効果があります。
膨張色と収縮色を知って着痩せ効果をコントロール!
例えば膨張色と収縮色。
これは知っておくととても役に立ちます。
なぜなら、膨張色とは太って見える、大きく見える色だから。
明度が高い色、白に近い色がこれに当たり、黄色と青を比べてみると、膨張して見えるのは黄色、白と黒では白のほうが大きく見えます。
モノトーンのグラデーションをコーデするなら、自分のコンプレックスのある方を収縮色にすると目立ちません。
例えば白と黒の上下にする場合、下半身が太めの人はパンツを黒にしてトップスを白にすると、下半身がすっきりと見えます。
ぱっと見の印象を変えてしまう色
色の組み合わせ、明度・彩度で人からの第一印象までコントロールすることができます。
軽快・柔らか・・・明度の高い色、黄色や白、ピンクなどのペールトーン。
重厚・硬い・・・紺や黒、こげ茶など明度が低いダークトーン。
はつらつ・・・赤、黄、緑、青など原色を使ったビビッドトーンやブライトトーン、または白と黒など補色の組み合わせ。
ビジネスシーンなら重厚感や信頼感のあるダークトーンを選び、プライベートで楽しい雰囲気を演出するなら軽快さやはつらつとしたイメージの原色に近い色を持ってくると良いですよね。
ジャケットとパンツの組み合わせを考える
ジャケットとパンツの組み合わせを考える時に知っておきたいのが、色の割合。
洋服の組み合わせは、ベースカラー・アソートカラー・アクセントカラーが基本にあり、この3つの割合を上手に組み合わせると失敗がありません。
・ベースカラー:7割
・アソートカラー:2割
・アクセントカラー:1割
と覚えましょう。
ベースカラーはコーディネート全体のベースになる色、アソートカラーはベースカラーを引き立てて、全体をまとめる役割の色、アクセントカラーはスパイスになる色です。
ではまず、ベースカラーとアソートカラーの組み合わせから見ていきます。
統一感が出やすい「まとまり配色」
似た色同士で配色するので違和感がなく、全体的なイメージが出しやすくなります。
同じ色相での配色|同一色相
同じ色相で、明度や彩度に変化をもたせた配色です。
ベースカラーを右の紺にした場合、アソートカラーを紺が薄くなった水色にすることで調和がとれますね。
似た色の配色|類似色相配色
似た色同士を組み合わせる配色です。
右のベースカラーの紺を一つスライドさせてアソートカラーを緑に。
隣同士の色は色味が大きく変化しないので、違和感なく合わせることができます。
イメージを統一する|同一トーン配色
色相が違っても、トーンを同じにするとイメージが同じになります。
トーンの持つイメージが、全体をまとめます。
上の2つの色は緑と青の寒色系ですが、どちらもペールトーンなので、ソフトな印象を与えますね。
隣り合うトーンを合わせる配色|類似トーン配色
隣り合うトーンを組み合わせた配色で、似たようなイメージを持ちつつ、少し変化を持たせます。
ほぼ同じ色を組み合わせる|カマイユ配色
ほとんど同じ色で素材を変えたり、色相を微妙にずらしたりすることで作る配色です。
遠目には同じ色に見えます。
大きく変化をつけて動きを演出する「メリハリ配色」
まとまり配色とは反対に、わざと色を大きく変えることでメリハリを効かせる配色で、少し上級編です。
しかしこれも、法則に則って色を選ぶようにすれば、難なくクリアできますよ。
ほぼ反対の色を組み合わせる|対象色相配色
全くの反対色ではありませんが、ほぼ補色に近い色同士を組み合わせることで、印象に残る配色が作れます。
大胆な組み合わせ|補色配色
全く反対の補色を組み合わせることで、大胆な印象になります。
上の図の場合、白と黒が補色、紫と黄色が補色関係にあります。
明度・彩度を変化させれば自由自在|トリコロール
トリコロールの基本は、フランス国旗の「赤・白・青」です。
トリコロールは明度を変えれば、ポップな感じにも、シックな感じにもなります。
また、彩度を変えると、雰囲気もガラリと変わります。
全体を引き締めるアクセントカラー
アクセントカラーは、文字通りコーディネートのアクセントに入れる色。
いわば、全体をキュッと引き締めてくれるスパイスのようなものです。
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素材で季節感を出す
季節によって、素材も大きく変わりますね。
素材は基本的に着心地によって左右されます。
夏は涼しいものを着たいし、冬は温かいものを期待ですよね。
それぞれの季節に使う素材は、次のようになります。
ジャケットの素材の素材の選び方
ジャケットは基本的に、裏地の有無で判断します。
ただし、あえて裏地を少なくして作るアンコン仕立てのジャケットは、表地の素材での判断が必要です。
春:コットン、コットン+ポリエステル
夏:コットン、リネン(麻)
秋:ツイード、コーデュロイ、薄めのウール
冬:ツイード、コーデュロイ、厚めのウール
コットンは基本的に一年中使用でき、厚さによって着用する季節が変わってきます。
ただし、真冬はいくら厚めでもコットンでは厳しいかも。
また、最近ではリネンを一年中着こなそうという風潮があるので、メーカーによっては秋冬物でもリネン混である場合もあります。
パンツの素材の選び方
ジャケパンに合わせるパンツはチノやジーンズが多いかもしれませんね。
チノは基本的にコットンで、オールシーズン可能です。
ジーンズもオールシーズンですね。
オールシーズン:コットン、ジーンズ
コットン以外で
春:レーヨン混、ポリエステル混
夏:リネン、リネン混
秋:コーデュロイ、ウール
冬:コーデュロイ、ウール
また、パンツの素材は基本的にジャケットより薄手のものか、同じ素材にしましょう。
全体を見た時に上に重心が来ると、バランスが良くなります。
逆に、ジャケットよりパンツの素材が厚いとバランスが取れず、もっさりした印象になってしまいます。
例えば、ジャケットがコットンで、パンツがツイードの組み合わせを想像してみてください。
下半身だけウエイトが大きくなってしまい、トップスに対してボトムスが大きな印象を与え、お尻が大きく見えてしまいます。
ジャケパン+小物のトータルカラーコーディネート
まずはこちら。
同一色相のコーディネートです。
同じ色相で明度だけずらしているため、とてもまとまっていますね。
小物のチーフは少し色相をずらして、赤を入れています。
次は無彩色+ワントーンでまとめたこちらです。
基本の無彩色(モノトーン)であるグレーに、ネクタイとパンツは同色のネイビーを合わせています。
色合わせが難しい時は、無彩色を一つ入れることで、全体をまとめてくれますよ。
次はこちらを見てみましょう。
パンツとネクタイ、ポケットチーフは同一色相、それに白の無彩色と、パンツの同一トーンであるベージュを合わせているコーディネートです。
青、白、ベージュと色が3色入っていますが、同じトーンや同じ色相を使っているため、とてもすっきりしていますよね。
次は少し上級編、トップスが類似トーンで、パンツはインに着ているニットの対象色相になっています。
類似トーン+対象色の組み合わせをもう一つ。
今度はニット、ポケットチーフとパンツが類似トーンで、ジャケットがニットとの対象色になっています。
では、こちらはどうでしょう?
そうです、全体のベースが茶色の同色色相で、バッグのトーンに合わせたグレーのパシュミナを首に巻いています。
まとめ
コーディネート上手な人の着こなしは、実はちゃんとした理論に基づいています。
・基本は無彩色ことと色をずらすこと
・失敗のないコーデにするならベースは暗い色
・色相の隣り合わせの色なら相性が良く
・トーンの種類を使い分けるのが肝心
・色の心理的効果を意識する
そして、ジャケパンのコーデは、
・統一感の出やすいまとまり配色にするのか
・変化で魅せるメリハリ配色でいくのか
・素材は季節に合っているか、上下の素材感は?
などなど、理論に従えば、センス云々の前に自然にコーディネートが出来上がってくるのです。
そして、何度も繰り返して色々なパターンを試していくうちに、段々と色の組み合わせ方が自分の中に蓄積されてきて、気付いたらセンスアップしているという仕組み。
法則が分かってくると面白いので、洋服売り場のマネキンを見る目も、変わってくるかもしれませんね。
ベースカラーやアソートカラー、アクセントカラーの取り入れ方などを楽しみながら研究して、異性からも同性からも一目置かれ、コーデ上手な人に変身してください。